日本の現状

 いわゆるベビーブームの子供たちが小学生だった昭和30年代から40年代にかけて、世の中は歯医者さん不足でした。「むし歯の洪水」が子どもたちに見られ、歯科医院では、今では考えられませんが、順番待ちでなかなか治療が受けられないと社会問題になった時期がありました。世界でも同じような問題が起こっていたのですが、この問題を解決するのに大きな分かれ道があったのです。

 ひとつが、病気をなくす、もうひとつが、治療する人を増やすという選択であったのです。

 北欧では病気をなくす道を選びました。その結果、すでに約20年前には、予防歯科に科学的なエヴィデンスが積み上げられ、国と、国民と、歯科医師のなかに合意が形成され、医療から保険制度まで予防の方向に転換していきました。  

 この時期に日本がとった選択は、別の方向でした。病気を積極的に治すために歯科医師の数を増やしたのです。昭和40年頃から歯科大学、歯学部を増設していきました。結果、病気を防ぎ、原因を除去することは無視され、後始末の治療に全精力が注がれることになったのです。

 その結果として現在、20歳の日本人は、むし歯の経験が一人平均9.2本あります。一方、病気をなくす(予防)の道を選んだスウェーデンは、30年くらい前は日本とたいして違いがなかったのですが、毎年のように数が下がり、1999年には、4本以下。ずいぶん大きな差になってしまいました。

そして、1本もむし歯のない人は、日本では25人に1人、スウェーデンでは5人に1人という状況です。
極端な表現かもしれませんが、「歯科医師は増えた、そして、むし歯もふえてしまった。」という事ではないのでしょうか?歯科医師過剰問題もとりただされてしまっています。

現代の日本の歯科医療は、大きな曲がり角にあるように思えます。歯科医院の経営環境は年々悪くなっているといわれているなか、よりよい医療を目指し、患者さんのことを真に考えようとする歯医者さんが出てきています。それが予防を中心とした歯科医療であり、収入を保つために「削って、詰めて、お金をもらう」治療に走る歯医者さんに、ならないようにしたいものです。

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