根管治療でその先生の姿勢がわかる

根管治療は、根管内という普通では見えない部位の手探りの外科処置です。しかし、X線撮影ができるばかりに一目瞭然とその処置の結果が写し出されてしまいます。すなわち、患者が現在置かれている状態もわかると同時に、術者がどういう考え方、知識、技術をもって、その患者さんの歯に対し、どう施術したかが歴然と残ってしまいます。もっとも、それ以前に再発し、抜かれてしまったらそれは論外です。ただし、証拠は残りませんから、痛みや腫れは起こらなくなります。しかし常にそういうことをしていればあの歯医者に行くと、すぐ抜かれるという評判が立ってしまいます。

そこで、どの歯科医師の先生もきちんと根管治療をしたいわけですが、それができないいくつかの壁があるんです。まず保険診療に限って言えば

①時間がかかって赤字である
②彎曲、屈曲、分岐などの複雑性の根管処置はよく見えないので難しい
③限られた手術野は手が届きにくい
④患者さんも長時間の開口に耐えられない
⑤不採算なので器具の整備もままならない

などなど。

また患者さんの治療された歯の組織、細胞もすぐに反応が出て、症状が始まるわけではないのでつい妥協してしまい、臭いものには蓋式に途中で根管治療を終わりにしがちになります。しかし、これから歯を入れて噛むための土台となる処置ですから最も大切な治療であり、段階であることは術者は重々承知なわけなんです。そこで、術者である歯科医師の心理に心の葛藤が始まるわけです。

そこで、根管治療の究極は自分の良心との戦いであるともいえるのです。