現代の日本の根管治療の現状は

はっきり言って粗悪な根管治療が多いのが現状です

かぶせ物が外れたといって来院する患者さんは多いです。レントゲンをとってみると根の治療が不十分で感染根管になっているため再治療になります。たまにはよく治療され病巣もなく成功している治療もみられますが、少数派です。本当に再治療の繰り返しが多いんです。そのたびに歯は痛んでいきます。患者さんもそんなもんかと思っています。なぜそのような現状が発生するのでしょうか。
それは、保険の仕組みにあります。奥歯の感染根管の総費用は、保険で9000円(そのうち自己負担3000円)くらいでしょうか。見にくくて手が届きにくく、治療に難儀する奥歯の治療費がたったの10000円もしないんですよ。奥歯の根管治療ならば中レベルの難度の症例で、30分のアポイントで4~5回はかかるでしょう。手の遅い先生でいらっしゃればもっとかかって当然でしょう。つまりまともにやると安すぎて大赤字になるということなんです。それでもそこそこに行っているということは、歯医者さんがボランティアでやっているのと同じことなんです。でも歯医者さんだって、かすみを食べて生きているわけではありません。
よくネットで、保険で、ラバーダムして、マイクロスコープで治療する歯医者さんいませんかと検索している方をお見受けしますが、ありえない話です。それは、わかりやすく言えば、レストランに行って500円で松坂牛のステーキを食べさせろと言っているようなものなんです。

現在の国の保険の仕組み

いまの資本主義の日本では、いいものは高いし、よくないものは安いんです。ですから、いまの保険制度では、根管清掃が不十分でも痛みさえ取れればおわりにしても悪いとも言い切れません。いまの国の保険の仕組みでは、悪い歯には時間をかけないで、とっとと抜いて入れ歯にしなさいという政策が見て取れます。そうすればトータルの歯科医療費が節約できると思っているようです。

歯科医側にもめんどくさくてお金にならない根管治療なんかあきらめて抜いて、歯を削ってブリッジにした方が収入が上がるように仕組まれているんです。これ全部現実の話なんです。本当です。私は嘘は申しません。でも、国民もあまり関心はありません。しかし、被害を受けているのは、ほかならぬ患者さんなんです。

レントゲン写真

根っこの先まで薬が充填されてなく根の先に病気(黒い部分)を発生させている症例。このままだといずれ抜く羽目に。大事な歯がなんということでしょう。

【参考までに】

奥歯の根っこの治療費(感染根管治療)は、

アメリカ 約150,000円、フィリッピンですら、約70,000円です。