歯やお口が原因で全身に症状が出ることがあるのです

1.咬み合わせが原因になる場合

咬み合わせが、ずれて不正咬合の状態(いわゆる咬み合わせが悪い)になるとまず、あごの関節がずれます。続いて頚椎(首)がずれ、胸椎(胸)がずれ、肩の関節がゆがみ、腰椎(腰)がずれ、骨盤・仙骨が曲がり、股関節がゆがみ、ホルモン系統の異常が発生し、カラダのバランスが崩れてきます。咬み合わせの異常を発端にして、体の上から下へと様々な異常が現れてくるのです。

咬み合わせは、上下の歯がきちんとかみ合っていればよいというわけではありません。それ以外にも、次のことが全身症状と深く関わっています。
●親知らず
親知らずが咬み合わせに影響を与えてしまっている場合もあります。
●歯の形態
歯やかぶせ物の形がカラダに合っていいるかを診査します。
●歯の欠損
抜けてしまった歯をそのままにしておくと、その歯とかみ合う向かい側の歯が伸びてきてしまったり、となりの歯が倒れてきてしまって、咬み合わせがずれてきます。
●歯ぎしり
歯ぎしりがひどいと歯がすり減ってきて咬み合わせも変わってきてしまいます。歯ぎしりをなくすと自律神経が安定し、不眠やいらいらも改善することがあります。
●咬合する高さの過不足
咬み合わせが高すぎたり、低すぎたりしても、体の調子に影響が出ることがあります。適正な咬み合わせの高さに調整することはとても大事です。
●入れ歯の形態
入れ歯の形が合っていないと、体の調子が悪くなるなることがあります。入れ歯の形がお口にぴったりと合っていないと肩や首がこったりすることがよくあります。しっかりと調整することが大切です。

2.歯科材料の毒性(特に歯科用金属)

①歯科金属が溶けてイオンになって体内に蓄積
②歯科金属による口腔内電流の発生

全身の症状の原因は溶けた保険歯科金属かも
虫歯の治療を経験した人はたくさんいます。その口の中には、たいてい保険の治療に使われる「アマルガム」か「金銀パラジウム合金」あるいは「ニッケルクロム合金」「銀合金」という金属が入っています。しかし、これらの金属がもとで金属アレルギーをはじめとした様々な悪影響が出てしまう場合があります。

◆アマルガム
水銀を50%含んだアマルガムは有害です。過去につめられてしまったらすぐ外すのが懸命です。海外では、訴訟になっています。
アマルガムについてもっと読む⇒GO

◆金銀パラジウム合金
金属アレルギーの出やすい金属材料です。ドイツでは、使用禁止です。

◆ニッケルクロム合金
ニッケルクロムに発がん性があるため、歯科の金属材料には適していません。

◆銀合金
酸化すると黒色に錆びる銀を、お口の中で使用すると、お口の中には酸性のものもたくさん入ってくるのですぐ黒く変色し、歯ぐきを黒く変色させたり、溶け出す危険があるため、歯科金属材料としては不適格でしょう。使うのは、コストの安さそれだけです。不健康です。

金属アレルギーとは

長年、銀歯を使用していると、その銀歯から金属イオンが溶け出します。金属イオンが体内に入ると免疫の働きでその金属を異物と認識してしまいます。すると、つぎに同じ金属に触れたときにアレルギー範反応を起こします。これが金属アレルギーと呼ばれるものです。症状としては、口内炎、歯肉炎、口唇炎、舌炎、皮膚アレルギーなどが知られています。もっと詳しく読む⇒GO

3.歯周病という原因

歯周病細菌は全身疾患に関係しているのです
歯周病などの歯ぐきの病気は、世界で一番罹患率の高い病気です。世界の人口の70パーセントの人が歯ぐきに何らかの異常を持っています。さらに9億人の人々が重篤な歯ぐきの病気である歯周炎に悩まされています。歯周病菌は、全身疾患である糖尿病、心疾患、動脈硬化、高血圧、早産、肺炎、がんなどに関連していることがわかり、ニューヨークタイムズをはじめ、日本の各新聞社で報道されて話題になりました。

歯周病はこんな悪影響を及ぼします

●脳卒中になるリスクは2倍
血圧、コレステロール、中性脂肪の高めの方は、動脈疾患予防のためにも歯周病の予防や治療が重要になります。
●慢性呼吸疾患になるリスクは2~5倍
●冠動脈疾患になるリスクは2倍
動脈硬化により心筋に血液を送る血管が狭くなったり(狭心症)やふさがってしまう(心筋梗塞)病気で死に至ることもある病気です。動脈硬化は、食生活や運動不足などの生活習慣が原因とされてきましたが、別の因子として歯周病がクローズアップされてきました。歯周病原性細菌の出す毒素は動脈硬化を促進することが解明されてきました。
●早産になるリスクは4~7倍
妊娠している女性が歯周病の場合、低体重児出産および早産の危険度が高くなることが指摘されています。これは、口の中の歯周病細菌が血液の流れに乗って胎盤を通して胎児に感染することが原因であると言われています。その危険率は実に7倍にものぼり、タバコやアルコール、高齢出産などよりはるかに高い数字です。
●糖尿病
「強く疑われる人=約890万人、可能性を否定できない人=約1320万人、合わせると2210万人いると推定されます」(平成19年国民健康栄養調査)
歯周病は以前より糖尿病の合併症の一つと考えられてきました。実際、糖尿病の人は歯周病の人が多いという疫学調査があります。さらに、歯周病になると、糖尿病も悪化するという逆の関係も明らかになっています。つまり、歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼしあっているのです。歯周病治療で糖尿病も改善することも分かってきています。

歯周病菌は内毒素を体内に撒き散らす

内毒素とは、細菌の細胞壁に含まれる毒素のことで、細菌が死んでもその死骸には、毒が残っているのです。別名エンドトキシンと言います。歯周病菌は歯肉から容易に血管内に侵入し全身をかけめぐります。しかし、血管に入った細菌はカラダの免疫の力で死滅します。が、歯周病菌の死骸の持つ内毒素は残ったままなので血糖値に悪影響を及ぼすのです。
歯肉の炎症が全身に多くの悪影響を与えることは昨今の研究で明らかになっています。歯周病も糖尿病も生活習慣病です。お互いに深い関係があっても不思議ではないでしょう。毎日の食生活を含めた生活習慣を見直し、歯周病を予防することが全身の生活習慣病を予防することにつながります。

歯周病についてもっと詳しく知る⇒GO

4.病変という原因

自覚症状がなくても全身に悪影響があります
①歯肉の炎症
②親知らずの腫れ
③根の先の炎症 などなど
ボーンキャビティーの存在
ボーンキャビティーとは
歯は骨と直接固定されているわけではありません。歯周靭帯と呼ばれる繊維によって固定されています。抜歯をする時にこの繊維をしっかり取り除かないと治癒が正常に起こりません。結果としてそこに穴が残ります。この穴はキャビテーションと呼ばれます。1996年にアメリカで行われたリービーとハギンスの調査のよれば抜歯した691例のケースで77%にボーンキャビティーがあったとのことです。
キャビテーションを見つけることは非常に難しいものです。日本ではその存在はあまり知られていなく、知っている歯科医もきわめて少ないのが実情です。
キャビテーションは、数ミリから数センチあって、その中にあるものは生体にとって非常に毒性があります。幸いにもこの部分の血液循環は非常に限られているため、生体への毒素の侵入には時間がかかります。キャビテーション内の毒素が病気の原因になることもありますが、ほとんどの場合は最初の歯の治療からかなりたって異常に気づきます。根管治療したすべての歯が感染しているとはかぎりませんが、キャビテーションがある場合は100パーセント毒素が存在します。

体の中で離れたところに2次的に感染を引き起こすことを「病巣感染」と言います。
病巣感染の原因部位は、「歯」「扁桃」「上咽頭」が90%を占めています。病巣感染の原因となるのは歯周病だけではありません。実は根管治療をした歯や通常の抜歯により生じるボーンキャビティーも全身疾患と非常に強い関連があるのです。

病巣感染に関連する病気は
心疾患(心筋梗塞、高血圧、不整脈、心内膜炎)・アレルギー性疾患・慢性関節リウマチ・腎臓疾患(腎炎)・自己免疫疾患(多発性骨硬化症)・眼疾患(ブドウ膜炎)・喘息など

全身疾患との関係を考慮して治療する歯科医師は「バイオロジカル・デンティスト」といわれ、アメリカやドイツでは、近年増えてきています。

2013年国際オーソモレキュラー学会@トロントにて、トーマス・レヴィー医師は語っています。
「乳がんや頭頚部がんの最大の原因は、リンパ系でつながっている口の中の感染根管である。また、これらは心臓病にも深く関わっている。」と述べています。