歯ぐきの腫れが引かない
横浜旭区の歯医者かさい歯科クリニックの根管治療のしょうれいです。
1. 女性 17歳 主訴:他院で歯の治療を受けたが腫れが引かないので見てほしい。
泣きそうな声で受付に予約の電話があったそうです。その歯医者さんに何回言っても「様子を見てください。」と言われるだけだったそうです。さっそく拝見しました。
上のレントゲン写真をご覧ください。根管充填材料の詰め方の不良(というよりでたらめ根管治療ですが、はっきり言えば)により、材料の一部が根尖歯肉の中に迷入しています。これにより炎症が起き膿が出てくるわけです。
おまけに歯根の先も溶けかかって消えてきています。一般の歯科では抜歯の選択以外ないでしょう。抜いてインプラントになんていわれるかもしれません。
まずは、歯肉をひらいてすでに異物と化している不良な根管充填材料を取り除きました。これだけでも腫れは引いてしまいます。ただ下手に切ると帰って術後の腫れが出ます。ここら辺は、なるべく術後に腫れないようにするのがプロ中のプロのテクニックで年季のいるところでしょう。
根管は掃除をして抗生物質の軟膏(黄色い部分)を入れておきます。
根管の清掃が完了したところです。この症例ではMTAセメントによる根管充填が最適のケースです。通法に従いラバーダムをしてから行ないます。(青いのがラバーダムです)
MTAセメントが根尖に落ちないようにマイクロスコープを見ながらコラーゲンを先に詰めて手術していきます。マイクロスコープなくしては正確にできません。
MTAセメントで完全に封鎖したところです。きれいですね。
術直後。レントゲン写真です。
2ヶ月後のレントゲン写真です。根っこが再生し始めているのがご覧いただけます。このように、MTAセメントには、セメント質を再生し硬組織を誘導する働きがあることが解っています。まだ若干、17歳の患者さんの歯を抜くことなく保存できたのはたいへん価値のある事だと思います。
2. 男性 40歳 主訴:他の歯医者さんで神経をとったのに痛くて腫れている、マイクロスコープで治療してほしい。
このケースは、神経がうまく取り切れていないんじゃないかなどと安易に考えていました。
あとがき:MTAセメントをつかったパーフォレーションのリカバリー処置は予後の確実な方法といえる。
従来は、抜歯と言われていた歯も救うことができ、抜歯してインプラントにしなくても生涯自分の歯で噛めるということが現実的に可能である。
現実にはまだまだ使える歯を手を尽くさず抜いてしまってインプラントになるケースが多いと考えている。
歯科医師の仕事はまず第一義的には本来の天然の歯を残すことが仕事であり、どうしても残すことが不可能な最後の手段としてインプラントを適用すべきであると考え、日々研鑚を積んでいる。