歯に原因がないのに歯が痛いということがあります

患者さんは歯が痛いということで歯医者さんを受診します。歯の痛みの多くは歯が原因である歯痛であり、「歯原性歯痛」(しげんせいしつう)とよばれます。歯原性歯痛は虫歯や歯周病や親知らずなどが原因となる痛みであり、歯の治療をすれば治まる痛みと言えます。

歯に原因がないのに歯が痛むと言われる患者さんがおられます。歯が痛いのですが歯に原因がないので、歯を治療したところで痛みは消えません。

これは、歯に原因のない歯の痛みなので「非歯原性歯痛」(ひしげんせいしつう)と言います。非歯原性歯痛は「歯を治療しても良くならない痛み」でもあります。患者さんが「必ずしも歯が原因でない歯痛がある」という知識がないと「歯の痛みで歯医者に行ったのに、歯の治療をしてくれない」と言った不満が生じることがあります。

ぜひ、「非歯原性歯痛」というのがあることを知っていただきたいと思います。

非歯原生歯痛を歯原性として治療すると

もし非歯原性歯痛を、歯が原因の歯原性として治療するとどうなるでしょう。歯の治療は痛みの原因除去とはならないために痛みは解消されません。痛みは続くので、さらに歯の治療を続ける状況になります。歯の治療は、歯を削ったり神経をとったり、抜歯をしたりと、行うと元には戻れない治療です。無駄な時間と犠牲を伴い、結果的に自分の身体の一部を失うことになるのです。そのためにも痛みに対しては慎重な診断が求められるのです。

いろいろな非歯原性歯痛

(1)筋・筋膜性歯痛
(2)神経障害性歯痛
(3)神経血管性歯痛
(4)上顎洞性歯痛
(5)心臓性歯痛
(6)精神疾患または心理社会的要因による歯痛
(7)突発性歯痛
(8)その他さまざまな疾患により生じる歯痛

(口腔顔面痛学会議「口腔顔面痛の診断と治療ガイドブック」より)

歯医者を何軒もハシゴしても一向に痛みが治まらない方は非歯原性歯痛の可能性もあります。一般の歯科医も非歯原性歯痛に対して知らない先生のほうが圧倒的に多いので非歯原性歯痛に詳しい歯科で相談することをお勧めします。