病巣感染とは?

病巣感染とはなんでしょう?

体の一部に細菌感染が原因の慢性炎症があると、それ自体の症状は軽いとしても、これが原因となって他の臓器に反応性の病変を生じることを言います。

例えば、口の中の病巣が原因で、皮膚炎を起こしていたり、悪化させていたりする場合があります。そのような場合は口の中の病巣を除去する「原因除去療法」が根本治療になります。最近の研究では、口の中の病巣が、体の様々な病気の原因となっていることが明らかになってきました。

お口の中にある病巣とは?

その1.歯周病
歯周病の細菌や炎症が病巣となります。病巣除去のためには徹底した歯周病治療が必要になります。

その2.根尖病変
重度の虫歯で根管治療をしていない歯や根管治療が失敗している歯、それに伴う根尖病変も病巣となります。病巣除去には、正確な根管治療が必要です。注意する必要があります。

その3.破折歯
歯根破折などがあると、その破折部位から細菌感染を起こし病巣となりますので、取り除く必要があります。レントゲン写真にも写らず破折の診断がつきにくい場合もあるので注意が必要になります。

病巣感染はなぜおこる?

病巣感染の起こる理由は次の通りです。

細菌が病巣から血管に入り、血流を通して他の臓器に住み着く(菌血症)。

細菌の毒素や代謝産物が血流に乗って体内を巡り、沈着することに対する感染防御反応。

細菌、細菌の死骸、毒素、代謝産物に対する抗体による生体のアレルギー反応。

持続的な病変からの刺激による自律神経の過剰反応。・・などなど。

主に、細菌が原因であると考えていますが、私は、治療材料(特に金属から溶出する金属イオン)や薬剤などによっても反応は起こると考えています。というのも、抜歯した歯をよく観察すると、細菌感染のみではなく、さびて腐食した金属や劣化した歯科材料が認められるからです。

病巣感染を知らない医師・歯科医師はいないでしょう。しかし、現実は、根管治療を軽視し、残せる歯をむやみに抜いてしまう歯科医師が増えてしまったこともあり、あまり重要視されていませんでした。しかし、最近になり病巣感染の重要性が認識され始めています。